No. 2007年4月の出来事
ドライバー、スパナ、ラチェットレンチ、モンキーレンチ、六角レンチ。これら工具のどれか一つくらいは誰でも使ったことがあるかと思う。私もスケルトンのソリ(国産)を整備するときには幾つもの工具を使う。 4月から本格的なオフトレーニングを開始し、だいぶ時間が過ぎた。今の時期は、ウェイトトレーニングが中心となり、エムウェーブ(スケートリンク)地下にあるトレーニングルームを良く利用している。 その日は、私といつも見る60歳過ぎたぐらいの男性の二人だけであった。二人とも黙々と練習をするタイプで、会話は必要最小限である。ふと、男性の方から「越さん、あのマシーンのボルトが緩んでいるね」と話しかけられた。マシーンに近づいてみると、確かにボルトが2本緩んでいた。男性はすぐさま「モンキーレンチ」を借りてくると言って、事務所まで取りに行ってきた。私は自分のトレーニングが中断されるのが嫌で、男性が修理しているのを横目にトレーニングを続けた。しかし、小まめに修理しているのが何だか気になり、トレーニングを中断して近くで修理の様子を見ることにした。 「緩んだ2本のボルトは、片方だけを最初に全部締め切ってはダメで、交互に均等に少しずつ締めるとバランスが良くしっかり固定できる」「モンキーレンチは、回す方向が決まっている。(モンキーレンチとは、一方が固定されていて、もう一方が可動式になっていて、真ん中の調整具を回すことによってネジの大きさに合わせられるようになっている。ちなみに、語源は、サルの顔に似ているからとか、モンキーさんという方が作ったとか言われているようです)力の掛かる方向に固定式の部分を当てがい、ネジを回すのが正式な使い方で、可動式の方をあてがうと場合によってはレンチが壊れてしまう」男性は私にそう説明しながら作業を進めていった。私のソリは他のソリと違ってほとんどがネジ止めになっているので、良くネジも回すし、モンキーレンチも良く使っている。なのに、ネジの締め方、工具の使い方もろくに知らないで「私は、世界の頂点を目指している」と言っていた自分が何とも恥ずかしくなった。 たかが、ネジとモンキーレンチの話かもしれないが、私のこれまでの42年の人生では他にも知らないことがいっぱいある。特に、勉強をしない、本を読まないで過ごしてきた私は、大損をしているに違いないと思う。これからの人生でどれくらい知識を増やすことができるのだろうか。それは、「もう無理」と考えるか、「死ぬまで勉強」と考えるかによって違ってくるだろう。そして、プラスになる人、物、こと等との出会いと、機会を見過ごさないことかもしれない。せめて今自分がやっていること、そして、これからやろうとすることに対しては、誰にも負けない知識を身に付けたいと思う。“人間、死ぬまで勉強、死ぬまで成長”そう思ってこれまでの遅れを取り戻したいものだ。
平成19年4月 越 和宏